惚気たいわけではない(ある)。
彼氏ができた。
実に5年ぶりかもしれない。
同じ専攻の一学年下、同い年で
授業の東南アジア旅行で仲良くなった彼だ。
頻繁に連絡をとりあったり
彼の誕生日にごはんに行ったり
うちに泊まったり(本当に泊まっただけ)
そんな関係が数日続いていて、あれ?これ付き合ってるのかな??としばらく悩んでいた。
彼も留学生の多い環境にいるし、告白しないで付き合い始めるのって当たり前…?
告白して付き合うのって日本の文化だし。
もういっそ自分からその関係を確認してしまいたいと思ったけれど、過去それで3度も失敗している。
男性は関係に名前をつけることで縛られることが嫌いなのだろう… そんな人ばかりだったから、彼ももしかしたらそうかもしれないと思い、今回は聞くのはよした。
待てる女になろう。あっちももう既に付き合ってる気持ちでいるのかもしれないし。もしかしたらクリスマスとか特別な日に告白してくれるかもしれないし!
少しもやもやしながらも、私たちの学年の作品搬入を手伝いに来た彼はそのままうちに泊まっていくことになった。
付き合っているかどうか分かる前に致してしまったらセフレになり兼ねないけど、なんだか彼にはそんな様子がないので安心して泊まってもらえる。
だがしかしセフレとは言わないけれど、彼氏でもない人がうちに泊まる状況とは…
と考えながら彼と一緒に家の前に着き、
鍵穴に鍵を差し込んだ。
その時。
「ちょっと待って」
と彼が私の腕をおさえる。
さっきまで談笑していたのに、彼は急に緊張した面持ちで何とか無理矢理笑っているようだった。
一瞬、トイレか?と思った。
なら尚更ドアを早く開けなければならない。
心配する私を前に彼は、
「こういうことは、早く言わなきゃと思って… と思ったわりになかなか言えなくて、」
としどろもどろし始めた。
あ!これ、告白されるやつ!ここで!?
何を言うか察知した私も、まさかこんな薄暗い玄関前で言われると思っていなかったのでしどろもどろし始めた。
「えっと、」
覚悟を決めたように彼は背筋を正した。
「好きですっ、だから、えっと、必ず幸せにします、ので、付き合ってください!」
…
“幸せにします”…!?!?
プロポーズか!!!!!!
「そういうところだよ!!!ふざけてるでしょ!!笑」
ベタが好きな彼の言葉が王道すぎて思いっきりツッコんでしまった。大真面目だよ!と笑う彼に対して、もちろん返事はイエス。
急に恥ずかしくなったのか、
「さっきの言葉は忘れて…、いや、告白は本当だし幸せにするのも本当だけど、その言葉だけ忘れて…」
と彼が顔を覆いはじめる。
これはしばらくネタに使っていこう。
言い回しに笑ってしまって忘れていたけれど、私はとても嬉しかった。ちゃんとまっすぐに私と向き合おうとしてくれているんだ。
一ヶ月前の東南アジアに出発する前は、この世には付き合うっていうシステムは存在しないんだ… このまま一生独り身かもなあとクリスマスムードに染まる街を見ていたのに、何が起こるかわからないものです…
「運が良すぎて、これからの人生が不安…」
と彼が何度も呟く。
それはこっちのセリフね。