なので睡眠に逃げる。
9月に子宮頸がん検査をして、
その結果をやっと聞いてきた。
本当は2週間後くらいに行かなきゃいけなかったんだけれど、学校が忙しかったり東南アジアに行っていたりしていたらこんな時期になってしまった。
というのはまあ言い訳で、本当は“内診”が嫌で嫌でしょうがなかった。
下着を脱いで機械に脚が開かれるあれ。まあ大丈夫だろうと思っていたけれど、実際やってみるとなかなか屈辱的で精神的にくるものがある。それも男性の先生だ。もう一度行かなきゃいけないなんて、ちょっとした地獄だった。
再診しなかったその間もずっと病院から電話がかかってきていて、どうせ何もないなら電話で言ってくれとすら思っていた。
でもまあ、結果を聞くだけなら内診もないだろうし、と再来院。
「検査、引っかかってますね」
開口一番に言われて少しビビる。
え、私癌なのか??
よくよく聞くとHPVという感染症らしく、9割は治癒して持続し続けると癌になる可能性があるというやつらしい。
なんだ、治るのか。
ひとまず一安心。
「感染経路は性交渉で、」
と先生の説明が続く。
え、まじか、性感染症。
え、恥ずかし、ていうか汚くないか私。
命の安全がほぼ100パー約束され安堵し、
次に感じたのは自分への嫌悪感だった。
5年も彼氏がいなかったのに、致した男は星の数。どこのどいつから感染したのかなんてとても検討がつかない。
付き合う前の検査だから、今の彼氏はもちろん除外。
潜伏期間が2年だとして、元彼を除外。
あいつは童貞だったから、数名除外。
と、消去法で考えていっても確定はできず。
性交渉をしていることに対してはオープンなので恥ずかしさは感じないが、改めて考えてみると“不特定多数”という言葉が似つかわし過ぎて、自分大丈夫か?と不安になる。
ふと、今の彼氏がこれを聞いたらどう思うだろうと考える。
日本人女性の9割くらいが一度は感染するポピュラーなものらしいけれど、“性感染症”と聞くと急にだらしのない生活を送る人のなる病気のような印象を受けて顔が歪む。
自分で自分を“汚い”と思うんだから、彼が私を“汚い”と思ったとしてもそれはそれで当然かもしれない。
そういえば(これは病気の話ではないけれど)学部の時付き合っていた元彼に、「水商売は最低な職業だから辞めてくれ」と言われたことがあった。
別れ際に「そういうことをしているのは、大人を軽視している証拠だ」と言われたこともある。
その人が何を見てきたのか知らないけれど、自分の考えだけで何も知らないのにそんな言葉を投げかけられるなんて、先入観とは恐ろしいと思った。
HPVが女性から男性に感染る確率はとても低いらしいし、万が一感染っても男性にとっては何の害もないウイルスらしい。
でもやっぱり、はじめに“性感染症”と聞いた時に「こんな奴と付き合ってて大丈夫か?自分も変な病気になるんじゃないか?」と心配になるんじゃないだろうか。私が男ならきっとそう思う。
今の彼氏もそんな先入観を持つだろうか。
そう思うとなんだかとってもしんどくて、さらに今回は無いと思っていた内診もあって体内の細胞もとられて追い討ちグロッキー。
2週間後また病院に行かなきゃいけない。
内診があることは確定。
あーもう行きたくない。
診察料も予想以上の高さ。
9割は治癒する病気なら放っておけばよかった。
別に知る必要なんてなかった。
ちょうど風邪もひいてしまったみたいで、体調の悪さが考えをマイナスな方向に向かわせる。
ああ、しんどい。
いっそ男に生まれたかった。